2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

三田誠広「天気の好い日は小説を書こう」朝日ソノラマ文庫

ワセダ大学文芸科における「小説創作」講義をテープ起こししたとする三部作の一作目。 前半、近代小説の成り立ちから、文学のジャンル分けまでテンポよく紹介されている。現在そこにある小説の意味が、近代小説発祥の由来をたどってくれることで、頭がすっき…

徳川頼貞「薈庭楽話(わいていがくわ)」中央公論新社

ロンドンにて、ラ・ボエームのミミのアリアをメルバが歌うのを聞く。歌は素晴らしいけど、ミミって病弱で小さい若い女性じゃなかったっけ。目を舞台に向けるとメルバの偉大な体躯と隠せない年齢、うーん。 大西洋航路にて。船酔いで苦しんでいると、隣の船室…

佐藤功「教科書御用達小説の主人公はクズでヘタレばかり」河出書房新社

芥川龍之介「羅生門」 ・羅生門に一匹の蟋蟀(こおろぎ)が止まっていたわけは。 ・門の下で雨宿りしていた下人が途方に暮れていた本当の理由は。 ・なぜ下人の右頬のにきびが描写されているのか。 ・なぜ下人は死人の髪の毛を抜いて鬘を作って売ろうなどと…

中村すえこ「女子少年院の少女たち」さくら舎

私この本で「虞犯(ぐはん)」という言葉を初めて知りました。犯罪を犯すおそれのある者だそうです。犯罪を犯すおそれがあるだけで少年院へ入れられてしまうっていきすぎじゃない、と思いますよね。それは少年院を罰を受け反省する場所だと思うからです。 こ…

池内了「宇宙研究のつれづれにー「慣性」と「摩擦」のはざまで」青土社

戦争と科学者の協力に焦点をあてた本。 みなさん慣性の法則を知っていますか。すべての物体は力を加えない限り、その運動を持続するってやつです。コペルニクスの地動説に反対する人たちが地球がクルクル回っているなら静止している空気は後ろにふっとんで暴…

下地毅「ルポ東尋坊」緑風出版

福井県の東尋坊は、観光名所です。 そして自殺の名所でもある。 東尋坊には「救いの電話」と呼ばれている公衆電はボックスが2台ある。 ここに十円玉と「NGO 月光仮面」という名刺を置き、週に2回のパトロールをしている人たち。パトロールは、“月光仮面”一人…