平澤正夫「日本の牛乳はなぜまずいのか」草思社

スーパーで売っている紙パックの牛乳がまずい、と思った人にはおすすめです。
ちなみに、私はスーパーで売っている130度2秒間などの高温殺菌牛乳は飲みません。生協の配達品であるパスチャライズド牛乳か、デパートで売っている木次乳業の低温殺菌牛乳を飲んでいます。これらは63度30分間、又は、72度15秒間の低温殺菌です。これだと舌にべたべたしたいやな後味が残らない。昔は牛乳が嫌いでした。冷えているかココアやコーヒーを混ぜないと飲めませんでした。
牧場で清潔に気を付けないと乳牛は乳房炎になる。乳房炎牛乳は病気の牛の乳で細菌も多い。しかし高温殺菌すれば完全滅菌されるから無視できる。1950年代はもっとひどく、原乳の質の悪さをごまかすため過酸化水素を入れたり、工業用第二リン酸ソーダをぶちこんでいたそうです。そして、粗悪品の工業用第二リン酸ソーダ国鉄ヒ素が混じっているとして返品したものが森永に流れて、ヒ素ミルク中毒事件がおきたのでした。
回収したヒ素入りが疑われるミルク缶製造84万6千缶のうち20万缶が回収されたそうですが、それらはにわとりの餌になったそうです。そして森永は、超高温殺菌とホモジナイズドに舵を切ったのでした。
消費者置いてけぼりのメーカー論理と天下り官庁の二頭立てが、酪農家を窮乏化させ、日本の原乳を粗悪なままにしています。戦時中の物価統制令による乳価一元化が今も生きていること、乳等省令で1cc中の細菌数が400万以下ならよい、という甘々な基準に胡坐をかいているメーカーという図式が現在も生き続けているのです。
ついでにいうと、プロセスチーズはナチュラルチーズの欠片を集めて煮溶かし、乳化剤を入れて油脂成分が分離しないように固めて作るそうで、食べる気なくすわね。